kato-Special Features
TGV Sud-Est 実車プロフィール

1981年(昭和56年)にLGV南東線(Sud-Est)の開業に合わせて誕生した初代TGV。高速試験では380km/hを記録し、「TGV」の名を世界に広める存在となりました。
空力特性を生かしたウェジシェイブ(クサビ形)の先頭形状と、登場当初の鮮やかなオレンジの塗装が特徴です。
連結器はカバーで収納されており、この機構は後のTGV車両にも継承されています。他のTGVには見られないSud-Estの特徴として、登場時にはカバーに「SNCF」のロゴが配されていました。
各客車間には連接台車が採用され、落成当初はコイルばねを使用していました。その後、乗り心地の改善のために、客車側は空気ばねに変更がされています。
パンタグラフは直流と交流の2基を搭載。運転台側が直 流用で、客車側は交流用です。直流区間では前後の機関車に搭載された2基を使用しますが、交流区間では後部機関車の1基のみが使用されます。

※別車両参考画像

運転台は中央に円形のハンドルがあり、これがマスコンとブレーキに相当します。日本の新幹線とは大きく異なる仕様なのが特徴です。
※別車両参考画像

Tips!
TGV講座 1 限目
これであなたもTGVマスター?!
「掛け算で覚えるTGV」

TGV Sud-Estのデビュー以来、路線網の拡大やスピードアップなどを重ね、多くのTGV=高速車両が誕生してきました。一見複雑そうに見えますが、
「塗装(年代)」
「動力車(両端の機関車の形状)」
「客車の種類(1階建て・2階建て)」
の組み合わせで、ある程度の種類は見分けることができます。

塗装
動力車の形
客車の種類




オレンジ
※Sud-Estのみの塗装

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Reseau型(レゾ)
※12両はAtlantique型

Sud-Est
(シュド・エスト)


1階建て

シルバーブルー


2階建て
Duplex(デュープレックス)


カーミヨン
POS型
(ピーオーエス)
TGVのなかまたち
製造年:1988~
TGV Atlantique(TGV-A)
LGV大西洋線の開業に合わせて登場した二代目TGV車両。初代のデザインを踏襲しつつ、性能面で多くの改良が図られた他、TGV唯一の12両編成で す。
Sud-Estと似ていますが、おでこから前面のかおにかけてなだらかにつながっている点で見分けが付けられます。


1990年5月18日に第325編成を用いた走行試験では515.3km/hを記録し、フランス高速鉄道の技術力を世界に証明しました。
製造年:1992~
TGV Reseau(TGV-R)
外観は先に登場したTGV-Aと変わりませんが、どの線区でも使えるように10両編成として登場した汎用型のTGVです。名前の「Reseau」はフランス語で「ネットワーク」を意味しており、その名にふさわしくLGV南東線やLGV大西洋線での輸送力増強や国際列車としての運用など、幅広く活躍しています。


製造年:1995~
TGV Duplex(TGV-D)
TGV-DはTGV開業によって、パリ∼リヨンのビジネス需要が増大したLGV南東線の輸送力強化の切り札として誕生したオール二階建てのTGVです。機関車はデザインから刷新され、丸みを帯びたデザインになりました。
Duplexは「2階建て」を意味します。

製造年:2001~
TGV Reseau Duplex(TGV-RD)
TGV-R型の機関車にDuplex(二階建て中間車両)を組み込んだ編成で、TGV-RD編成(Reseau Duplex)と呼ばれています。同編成は主にLGV南東線とLGV地中海線で見ることができます。
製造年:2006~
TGV POS
2006年にLGV東ヨーロッパ線の開業に合わせて営業を開始したのがTGV-POSです。車両は先に登場したTGV-D型と同様のデザインですが、ドイツやスイスへ乗り入れるため3電源対応仕様になっています。

“Project・V150”
秒速150m・時速540km/hへの更なる挑戦。
2007年、特別仕様のTGV POS(V150編成)を使用して、「プロジェクト・V150」と呼ばれる世界最速記録への挑戦が行われました。そして同年4月3日、目標を大きく上回る574.8km/hという驚異的な世界記録を樹立。この記録は鉄輪・鉄レール方式としては現在も破られておらず、世界最速の座を誇示しています。
(試験に使用された機関車は、現在でもTGV POSの4402編成として運用中)




Tips!
TGV講座 2 限目
「もう少し詳しく!TGVブランドの変革」

営業開始から40年以上が経った今でも、TGVは時代の流れに合わせて進化し続けています。その進化は車両だけにとどまらず、「TGV」というブランド自体も変化を遂げています。
現在ではサービス面などで差別化が図られた「TGV inOui(イヌイ)」「Ouigo(ウィゴー)」の2つのブランドに分かれ、利用者のニーズに併せた運行がなされています。
2017~
TGV inOui(イヌイ)

TGV inOui(イヌイ)は2017年(平成29年)に新たなTGVブランドとして誕生しました。車両は1等車やビュッフェ車など、TGVが運行開始当初からの設備がそのまま残されています。

2013~
Ouigo(ウィゴー)

Ouigo(ウィゴー)は2013年(平成25年)から運行を開始したローコストブランドです。1等車などの設備がなく、従来のTGVよりも簡素化が図られています。2021年(令和3年)からはスペイン国内の高速鉄道「OUIGO Espana(ウィゴー・エスパーニャ)としての運行も開始されました。

次の世代へ、新たなTGV
TGVーM
2023年、次世代に向けた新たなTGVが誕生しました。車両はフランスのアルストム社が開発する「アヴェリア」シリーズのもので、「アヴェリア・ホライズン」と名付けられました。SNCFでは「TGV M」と呼ばれ、 TGV-D型の後継車として2026年に運行開始予定です。これまでのTGVよりも輸送効率、エネルギー効率などの向上が 図られいる他、内装は佐藤オオキ氏率いる日本のデザイン会社「nendo(ネンド)」が手掛けているなど、いままでのTGV車両にはない要素も見られる「未来のTGV」車両です。

製造年:2023~
国際ネットワークの進化
TGVはその需要拡大と共に車両も進化し続けていきました。それと同時に、路線網をヨーロッパ全域へと拡大していき、やがて国境を越えた「国際高速列車網」として急速な成長を遂げていきました。

TGVと国際列車網の主要路線図(図では一部を抜粋)
1994~

Eurostar(ユーロスター)



1994年にドーバー海峡トンネルの開業と同時に登場したのが、「ユーロスター」です。長年航空機でしか移動が出来なかったイギリスとフランスの主要都市を最高速度300km/hで結び、高速鉄道網の発展へと繋がりました。使用車両のClass373はTGVをベースに製造されています。
1996~2023
旧: Thalys(タリス)
現: Eurostar Red




TEEの花形列車のひとつ「エトワール・デュ・ノール」を継承するフランスのパリ・ベルギーのブリュッセル・オランダのアムステルダムを結ぶ、各国鉄の合同出資で始まったサービスがThalysでした。鮮やかなワインレッドのボディが特徴で、Rタイプの機関車 がThalys PBA、POSタイプの機関車がPBKA(ドイツのケルンを追加)と呼ばれていました。2023年にユーロスター社に統合され、現在はEurostar REDというサービス名称に代わりました。

2002~

TGV Lyria(リリア)


1993年にフランス国鉄とスイス国鉄が合併会社を設立。その後、複数のブランド名を経て2002年に「リリア」が正式なブランド名として確立しました。当初は1階建ての編成でしたが、現在はLyria Duplexとして2階建てでの運用がメインになっています。
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