kato-Special Features

写真:Yusuke Shibata 協力:Nゲージ天国
生粋の貨物機 EF66 27
1000㌧を超える貨物列車を単独牽引できる強力な貨物列車牽引機として、国鉄が威信をかけて開発・製造
したEF66形電気機関車。スピード感あふれる前面形状は、それまでの機関車とは一線を画したデザインで多くのファンを魅了しました。長大編成の貨物列車やブルートレインの先頭に立ち、日本の大動脈を日夜駆け抜けたEF66。KATOのNゲージ鉄道模型としても歴史が長く、2023年には完全新規金型でフルリニューアルを行いました。今回、KATOでは実車、模型共に歴史の長いEF66の中でも最後の1機として活躍した27号機を製品化いたします。
誕生の背景とはじまり

それに対し1954年に登場したEH10は、関ケ原越えの1200㌧貨物牽引と速度の向上両方が期待され、昭和30年代の国鉄貨物輸送は、輸送力の増強と速度向上の2つをテーマとしていました。
第二次世界大戦終戦後すぐに開発された貨物用電気機関車であるEF15は、旅客用のEF58の歯車比を大きくし牽引力を強化。


時代は高度経済成長期の1960年代後半、東名・名神高速道路の整備とともにトラック輸送のシェアが拡大し、国鉄はこれに対抗しうるさらなる貨物列車の高速化を検討することを迫られます。特に生鮮品を輸送する列車は所要時間の短縮が急務とされ、最高時速100 km で走行可能な高速貨車(コキ10000系コンテナ車・レサ10000系冷蔵車)と並行して、東海道・山陽本線系統の高速貨物列車専用機の開発が進められました。
そして1966年に誕生したのがEF66の試作機となるEF90です。最高時速110 km。最大1300㌧、最長26両編成のコンテナ列車を牽引する能力をもつ強力機でした。同形式は同年11月からレサ10000系の特急鮮魚貨物列車「とびうお」「ぎんりん」の牽引で運用を開始。その実績を基に1968年から量産機の製造が開始されました。

隆盛

量産機はEF66の形式名を冠し、1968年7月に下関運転所に配置。同年10月のダイヤ改正から15両が本格的に運用を開始しました。翌1969年春には5両が増備され、勢力を拡大していきます。
1973年には仕様変更された2次車が登場し、1975年までに35両が製造、下関運転所に追加配置されました。2次車はパンタグラフから飛び散る汚れから運転席窓を守る役割としてヒサシが設置されるなど外観に変化が見られました。
東海道・山陽本線系統の高速貨物の牽引機として東奔西走の活躍を続けていたEF66ですが、1985年3月からは、旅客列車の牽引にも携わるようになりました。花形とも言われる寝台特急(ブルートレイン)牽引仕業に就いたことは大きな話題となりました。「はやぶさ」にロビーカーが連結され、牽引力が以前よりも必要になったことが主な理由ですが、運用の都合上、「さくら」「みずほ」「富士」「あさかぜ」の牽引も担当するようになり 、一躍東京発ブルートレインの顔ともいえる存在になりました。

0番台のあゆみ
1987年、国鉄分割民営化により貨物事業と旅客事業が分社化されたことに伴い、EF66もJR西日本とJR貨物が承継する形となり、所属が分かれることになりました。JR貨物は試作機を含む全56両のうち40両を承継し、大阪の吹田機関区に集結。以後ここを拠点に東海道・山陽エリアの貨物輸送を担う体制になりました。
また、吹田・岡山・広島にますます高まる貨物輸送需要に対応するためEF66 100番台を製造。33両を製造、配置し、順次運用入り。貨物牽引を担うEF66は従来の0番台とあわせて73両体制の大所帯となりました。


27号機の来歴

- 誕生 -
最後のEF66 0番台として最後まで残った27号機。その歴史は1973年8月15日から始まりました。運用拡大に向けて製造された2次車として登場。僚機とともに下関運転所を拠点に貨物列車の牽引に従事しました。


- 最後の未更新機として -
1984年4月、下関運転所から現在まで在籍する吹田機関区へ転属。JR貨物発足後、コキ100系列対応などの目的で様々な改造が行われました。1989年からはじまった冷房装置の取付工事も1991年に施工されました。
1993年以降、僚機が全般的な更新工事を受けて「更新色」となる中、27号機も2004年にパンタグラフを新製時のPS17から下枠交差式のPS22に換装するなど小規模な変化がありました。しかし、塗装変更や大幅な外観の変更は行われず、国鉄時代からの風貌を保って「最後の未更新機」として活躍を続けました。

-「国鉄色」のまま出場 -
2006年9月、ついに更新工事を受けるため広島車両所に入場しましたが、屋根色がグレーになった点を除いてほぼ国鉄時代の原形をとどめた姿で検査を完了して出場しました。
この事実は鉄道ファンに驚きと喜びを持って迎えられ、数あるEF66のなかでも一躍脚光を浴びる存在となりました。

- 最後の活躍、そして「引退」-
ほぼ原形で出場した27号機は東海道線・山陽本線を中心に各地で活躍。都市間のシャトル便から高速貨物まで八面六臂の活躍を見せました。
1973年の落成以来、日夜東海道・山陽本線という日本の大幹線を駆け抜けたEF66 27。僚機の引退とともにその運用範囲は縮小されていき、ついに最後の1機となりました。27号機自体の運用頻度も徐々に減少し、2022年春、引退となりました。
製造から50年という機関車としては異例の年月を貨物牽引一筋で過ごしたEF66 27。その活躍は鉄道貨物輸送の歴史に残るまさに奇跡的なものと言えるでしょう。

製品情報・試作品写真
外観


ディテール

前面飾り帯
2次車のなかでも左右に開いた区切り位置を再現
左:EF66 後期形 ブルートレイン牽引機
右:EF66 27 JR貨物更新車(試作品)

クーラー
貨物機の特徴である屋根上のクーラーを再現。

側面
更新工事により腰板が撤去された裾部や移設された製造銘板、4分割の排気口を再現。

屋根
他機と異なる位置に設置された列車無線アンテナを再現
奥:EF66 後期形 ブルートレイン牽引機
前:EF66 27 JR貨物更新車(試作品)
KATO EF66 27 JR貨物更新車 の製品ページはこちらから。
模型で愉しむEF66 27
【カンガルーライナーSS60】
-概要-

「カンガルーライナー」はJR貨物主体で運行されている西濃運輸向けの混載ブロックトレインで、本州を中心に様々な便が設定されています。中でも2018年に初めて登場した、吹田貨物ターミナル駅(大阪)と、郡山貨物ターミナル駅(福島)・仙台港駅(宮城)を結ぶ「カンガルーライナーSS60」ではEF66が牽引にあたり、27号機も先頭に立ちました。
-編成-

編成は4両1ユニットのコキ102・103とコキ106等で組成される20両編成で、うち15両が西濃運輸の専用枠、残りの5両は一般枠として運行されています。西濃運輸の専用枠のうち4両は郡山発着のため、ブロックトレインでは珍しく途中駅での増解結が行われています。
今回のラインナップでは「SS60」のメインとも言えるコキ102・103と西濃運輸のU54Aコンテナに加え、一般枠で積載されるディーラインのUV54Aを製品化。JRFマーク付のコキ106を合わせることで、まさにEF66 27が牽引した「SS60」を再現することが出来ます。
-試作品(コキ102・103)-



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コキ103(奇数車)+コキ102 (奇数車) +コキ102 (偶数車) +コキ103 (偶数車) の4両1ユニットで構成される貨車です。
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ユニットの中間に挟まるコキ102はデッキがないことが特徴。
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コキ105に比べて低い位置にあるブレーキハンドルや異なる配管形状を再現します。
※奇数車は実車とは一部形状が異なります
-試作品(U54A西濃運輸・UV54Aディーライン)-


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汎用的な30ftコンテナのうち、U54AはSS60用に製造された38000番台を製品化。
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U55Aとは異なるコンテナの高さや片妻側方開きの形状を再現します。

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1個積載も可能
※ディーラインのUV54Aは印刷により、U54Aとの違いを表現いたします
KATO コキ102+103「カンガルーライナーSS60」/U54A・UV54Aコンテナ の製品ページはこちらから。
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