kato-Special Features
第三章
E500の多彩な活躍
2024年から、まずはPP自強號としての運用を開始したE500ですが、登場からわずか1年で、すでに活躍の場を多岐に広げています。この章では、こうしたE500の活躍についてお届けします。
Ⅰ.新しいPP自強號
E1000からの置き換え

E500の登場以来「PP自強號」は従来のE1000からE500への置き換えが順次進められています。
従来車両と比べて最大出力が約1.8倍となったことで、加速性能をはじめとする走行性能が大きく向上しました。これにより、ダイヤの正確性が高まるとともに、遅延発生時の回復性能も向上し、定時運行率の改善に貢献しています。
そんなE500は、片運転台でPP運用専用として設計されたE1000とは異なり、単機で客車を牽引することを基本設計としています。
一方で、PP運用にも対応できるよう、運用形態に応じて切り替え可能な複数の運転モードを備えています。これらの運転モードは互いに影響しないように設計されており、編成や運用条件が変わっても、常に安定した走行が可能です。
このような高度で柔軟なシステム設計によって、E500は単機牽引からPP運用までを1両でこなすことができる機関車となっています。

客車を残す理由

現在運転されている自強號の多くは、EMU3000などによる電車方式です。一方で、全体のおよそ3分の1は客車による運用が現在も残されており、E1000の引退後も、E500による牽引によって従来の客車の運用が継続される予定です。
その背景には、客車が電車とは異なり、1両ごとに運用・組み替えが可能であることが挙げられます。柔軟な編成が可能な客車は、保守や運用の面においても扱いやすく、現在の台湾の鉄道においても重要な役割を担い続けているのです。
PP自強號客車について

PP自強號客車として使われている車両は、1995年に韓国の現代精工(現:現代ロテム)によって作られた車両が大半を占めています。
その他、一部の車両は台湾の唐栄鉄工廠(現:台湾車輛)によって2002年に製造されました。運行開始以来、E1000の相方として使われ続けてきましたが現在ではE500との併結にも対応するため、電装部品など一部に改良が施されています。
PP自強號客車にはいくつかの種類がありますが、その中でも特徴的なのが「PPP」と呼ばれる親子車両です。
この車両は、2002年から自強號に組み込まれていた「食堂車(半室ビュッフェ)」を改造して誕生した車両です。現在は子供連れの専用車両として使われていますが、日本の国鉄形食堂車にも見られたような、一部の窓位置が高くなっている独特の構造が残されています。


PP自強號客車の車内は日本の14系座席車などに似たような構造をしており、日本人からすると、どこか懐かしい雰囲気を感じさせてくれます。
Tips.日本にはない台湾独特の設備

親子車両の授乳室のピクトグラム
PP自強號客車の12号車に連結されている親子車両(PPP)には「授乳室」が設けられています。車体には日本では見られない「授乳室」を示すピクトグラムが貼られています。

ドア開閉を示す表示器
一部の客車にはドア開閉を示す表示器が付けられています。側灯(側面表示灯)が主流の日本ではあまり見ることがない、台湾独特の設備です。
座席番号を示すドアの表記
各乗降用のドアには、最寄りの座席番号が示されています。座席番号は全て通しの番号で振られているのも日本とは異なる部分です。


Ⅱ.莒光號としての活躍

2025年からはE200に代わる形で、莒光號としての運用にも本格的な充当が始まりました。自強號とは異なり、一部列車では郵便荷物車が連結されており、他の車両とは異なる青色の客車を牽引する姿を見ることができます。
※莒光號は2028年までに廃止されることが決まっているため、E500が牽引の莒光號の姿は貴重な光景です。
「莒光號」ならではの面白さ


郵便荷物車を連結した莒光號では、各駅での荷扱いが頻繁に行われています。
そのため、添乗している乗務員と各駅の係員が連携しながら荷物を積み込む様子が見られるのも特徴です。


