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第一章 
新世代電気機関車「E500」の誕生

日本と比べ、機関車による旅客・貨物牽引が今なお重要な役割を担う台湾では、複数形式の主力電気機関車が同時期に更新の時を迎えていました。そこで求められたのが、従来各形式が担ってきた性能と役割を統合し、幅広い運用に対応できる「次世代の電気機関車」でした。その要求に技術力で応え誕生したのが、東芝製電気機関車 E500 です。本章では、E500誕生の背景と、今後数十年にわたり台湾の鉄道を支えるその卓越した性能を紹介します。

Ⅰ.機関車を取り巻く日本と台湾の環境

日本の機関車事情

日本の鉄道にはかつて、機関車たちが昼夜を問わず全国を駆け巡り、様々な客車や貨物を運んでいる風景がありました。


なかでも「ブルートレイン」などに代表される長距離を長時間かけて走る客車列車は、電車や気動車とはまた異なる、鉄道の旅の良さを感じることができる「旅情」に包まれた存在でした。

しかし、新幹線の開業・列車の高速化といった時代の変化とともに、客車列車は次第に姿を消していきました。

 

現在の日本では、機関車に牽引されて走る客車列車はクルーズトレインや観光列車などわずかに残るのみとなり、機関車の主な活躍の舞台は旅客輸送から貨物輸送に身を移しています。

台湾の機関車事情

一方、日本の南西、沖縄のさらに先に位置する台湾では、現在も機関車が電車と肩を並べ、旅客・貨物輸送の主力として活躍を続けています。

 

九州ほどの面積を持つこの島では、電車による特急列車や高速鉄道が走る一方で、機関車で5時間以上をかけて島をほぼ半周する長距離客車列車も運行されています。まるで新旧異なる時代の鉄道が共存しているかのような多彩な運用が、今でもいきいきと展開されています。

台湾では、日本ではすでに見ることができなくなった、客車列車が主役だった時代の風景に今なお出会うことができます。
例えば、近代的なホームで郵便荷物車への積み下ろしが日常的に行われる光景は、機関車牽引による客車列車の文化が今も色濃く息づいていることを象徴しています。


こうした風景もまた、機関車が台湾の鉄道輸送に欠かせない存在として現在も重要な役割を果たしていることを物語っています。

Tips.実は日本と似てる?台湾を走る列車の種類

台湾の鉄道と聞くと、なんとなく日本とは異なる海外の鉄道文化だと感じている人も多いかもしれません。しかし、実は共通する要素もかなり多いことが特徴です。例えば、線路の幅は日本と同じ狭軌(1067mm)が採用されており、複線の場合は日本と同じく左側を走行しています。また、台湾全土に路線網を持つ国営台湾鉄路株式会社(Taiwan Railway Corporation,Ltd.:略称台鉄)の列車種別を見てみると、日本の特急・急行・普通列車に似たような設定がされています。

現在の台鉄の主な列車種別

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・自強號(じきょうごう):日本の特急列車
・莒光號(きょこうごう):日本の急行列車

・区間快(くかんかい) :日本の快速電車
・区間車(くかんしゃ) :日本の各駅停車
・普快車(ふかいしゃ) :非冷房の客車普通列車

※現在は観光列車として運転

個性豊かな“自強號”の種類

日本の特急列車に相当する台湾の「自強號」。台湾全土を速達で駆け抜けるこの列車にはいくつか種類があり、どれも個性豊かな車両たちが使われています。その中には、日本で製造された車両も多数存在します。

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PP自強號(ぴーぴーじきょうごう)
 

客車を先頭と最後部の機関車で牽引するプッシュプル方式によって運転されている自強號です。Push-Pullの頭文字から「PP」と略され、台湾では「推拉式自強號」とも呼ばれています。

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太魯閣號(タロコごう)
TEMU1000

日立製作所製。日本の885系をベースに製造された振り子式特急電車です。愛称は有名な渓谷の名前にちなんでつけられ、台湾東部の行楽需要に対応すべく2007年から運転されています。

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普悠瑪號(プユマごう)
TEMU2000

日本車輛製。主に台湾東部で活躍しています。2013年から運行を開始しており、持前の走行性能によって、大幅な速達化が図られました。

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新自強號(しんじきょうごう)

EMU3000

日立製作所製。サービス改善・輸送力増強を目的に、2021年に誕生した最新鋭の自強號です。

Ⅱ.新世代機関車の必要性-E500誕生の背景

従来機関車の大量置換

2015年、台鉄は「10年購車計画(車両購入計画)」を打ち出し、およそ10年かけ、電車や機関車など約1,282両の新型車両を導入していく計画を発表しました。その内訳には、102両の機関車(ディーゼル・電気)が含まれていました。


この購買計画の背景には、長年にわたり旅客・貨物輸送を支えてきたE200/E300/E400と呼ばれる機関車たちや、PP自強號(推拉式自強號)として活躍するE1000といった多くの主力車両が登場から20~30年以上を経過し、一斉に世代交代の時期を迎えつつあったという事情がありました。

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E200/E300/E400
アメリカの「GE(ゼネラルエレクトリック)社」製の電気機関車。貨物列車や客車列車の牽引用として、1978年から台鉄の主力機関車として使われています。

E1000
南アフリカの「UCW(ユニオン・キャリッジ・アンド・ワゴン)社」製。片運転台を採用しており、PP自強號の牽引専用として設計されています。

このため、新世代の機関車には、それぞれ異なるコンセプトで設計された複数形式の特性を一両で兼ね備えるという、極めて高い要求が課されました。


これは単なる機能の積み重ねでは成立せず、機構や制御を含めた複雑な統合設計を必要とするものであり、高度な技術力が不可欠でした。そのうえで、従来形式を上回る更なる性能と機能を実現することも求められていました。

新しい台鉄を象徴する美的デザイン

また、2019年から台鉄は「台鉄美学復興(FUTURE—RENAISSANCE)」を掲げ、従来の国営鉄道のイメージを刷新すべく、車両や駅構内に美的デザインを取り入れはじめました。「Silent Flow」をコンセプトに開発されたEMU3000をはじめ、EMU900・R200といった新型車両たちには、従来の台鉄の車両とは一線を画した外観設計がなされています。これらの車両に続いて登場する新型機関車にもまた、高い機能性に加え、利用者に「台鉄の新しい時代の訪れ」を感じさせる外観デザインが求められました。

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画像:台鐡公司

日本の機関車製造技術の結晶「E500」

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「従来の機関車が担ってきた役割を一手に引き受ける高い性能」と、「新しい台鉄を象徴するデザイン」。これらの要件を満たす新世代機関車の実現に向け、世界各国のメーカーが関心をもって注視する中選び抜かれ、誕生したのが東芝製の電気機関車 E500 です。


旅客列車、PP運用、貨物列車といった多様な編成・運用形態に柔軟に対応する本機には、同社が長年培ってきた技術力と、機関車製造における豊富なノウハウが詰め込まれています。

提供元:株式会社 東芝

Ⅲ.これが東芝製電気機関車「E500」だ!

見た目のかっこよさ、美しさだけではなく、細かな部分にまで機能面が追求されているE500。

​その細部にまで込められた技術力を探ってみましょう。(各項目をクリックすると詳細がご覧いただけます)

提供元:株式会社 東芝

提供元:株式会社 東芝

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