kato-Special Features
Ⅲ.地域をつなぐ、人をつなぐ
―拡がる旅の舞台
青函トンネルを抜け、瀬戸大橋を渡り、日本各地の風景の中を走る姿は人々を魅了し、地域を明るく照らしています。本章では、各地を巡るクルーズトレインとしての〈THE ROYAL EXPRESS〉の魅力についてご紹介します。
ⅰ.伊豆で培ったおもてなしの心も、一緒に

画像:東急(株)提供
地域活性や観光振興において、観光列車の運行と地域の魅力を堪能する旅行商品の企画を不可分のものとして捉え、伊豆地域全体の魅力の掘り起こしに取り組んできた“街づくり”の東急。伊豆で培われた地域共創のノウハウは、車両とともに北海道へ受け継がれ、さらに四国・瀬戸内や東海道へと活躍の舞台を広げています。
その根底にあるのは、地域の人が愛するその地域と向き合うという真っすぐな想いです。各地へ足を運び、地域の方々や宿泊・観光施設、地元の素材や生産者との対話を重ねながら、その土地ならではの「旅の舞台」を組み立てていきます。沿線の観光資源や立寄先での滞在時間、車窓の見どころを通過する時間帯に加え、列車の検査や機関車・電源車の燃料補給まで、あらゆる面から綿密な検討が重ねられています。
上質なサービスとおもてなしの心を大切にしていることも〈THE ROYAL EXPRESS〉の大きな特徴です。車内サービスは伊豆に限らず、北海道や四国・瀬戸内、東海道でも東急の同じクルーメンバーが担当。旅のガイドから料理の提供、地域とのコーディネートまで幅広く担い、旅の始まりから終わりまでを支えています。また、組子細工やステンドグラスなど繊細な内装を守るため、専用の道具を使いクルー自ら丁寧な清掃も行われています。自社以外の線路を走りながら、自らが一貫したサービスを提供するというのは日本でも唯一の観光列車であり、その積み重ねが上質なサービスを支えています。

画像:東急(株)提供
ⅱ.~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~

画像:東急(株)提供 ©ドーンデザイン研究所
雄大な自然、どこまでも広がる牧場、そして日本海・太平洋・オホーツク海など、北海道には日本を代表する絶景車窓が数多く広がっています。
〈THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~〉では、そうした風景に加え、北海道の大地に根ざして暮らす人々とのふれあいを通じて、北の大地ならではの豊かな時間を味わえる旅が展開されています。
運行経路

旅は札幌駅から始まり、根室本線・石勝線を経て帯広や釧路へ 向かい、その後は釧網本線で釧路湿原のなかを走りながら知床斜里へ進みます。さらに石北本線を経由して旭川へ至り、函館本線を通って再び札幌へ戻るルートが設定されています。さらに、宗谷本線を北上し、日本最北端の駅である稚内を目指すコースも設定されています。
画像:東急(株)提供
ⅲ.~SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN~

画像:東急(株)提供 ©ドーンデザイン研究所
北海道でのクルーズ運行開始から4年後の2024年(令和6年)1月、JR四国・JR西日本・JR貨物との連携による四国・瀬戸内エリアでの〈THE ROYAL EXPRESS ~SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN~〉が運行されました。
運行経路

列車は岡山を出発し、瀬戸大橋を渡って四国へ入り、予讃線を通って瀬戸内海の穏やかな海と島々を眺めながら旅を進めます。金刀比羅宮をはじめとした四国の歴史や文化に触れ、さらに「藍よしのがわトロッコ」乗車や観光船「おりんぴあどりーむ せと」による貸切クルーズも組み込まれるなど、鉄道と船旅を組み合わせながら瀬戸内ならではの風景や伝統を味わえる多彩なルートとなっています。
画像:東急(株)提供
瀬戸大橋を渡り四国島内へ

本州と四国を結ぶ瀬戸大橋は、世界最長の鉄道道路併用橋です。青函トンネルと瀬戸大橋の双方を走行した列車は数少なく、電車として活躍する車両では〈THE ROYAL EXPRESS〉が唯一の存在です。
画像:東急(株)提供
四国は電化区間であっても、一部区間ではトンネルでの車両限界が小さく、〈THE ROYAL EXPRESS〉はパンタグラフ搭載状態で走行することができないという課題がありました。そのため、北海道クルーズと同様に機関車による牽引運転が行われますが、JR四国には営業用の機関車が所属していないことから、電気機関車の運用やノウハウについてはJR貨物が協力し、四国島内での運行が実現しました。

画像:東急(株)提供
Tips.クルーズトレインの先駆け
「オリエント・エクスプレス ’88」


豪華列車による“クルーズトレイン”という文化は、日本でもかつて大きな話題となりました。1988年、ヨーロッパの「オリエント急行」の客車が来日し、「オリエント・エクスプレス ’88」として運行されたのです。この列車は、パリから香港まで走行し、香港から海上輸送で日本へ運び込まれ、同年開業したばかりの青函トンネルや瀬戸大橋を渡り、日本各地で運転されました。その優雅な姿は大きな注目を集め、クルーズトレインの世界を、日本に広く知らしめる存在となりました。
そして現在、〈THE ROYAL EXPRESS〉が北海道や四国・瀬戸内へと舞台を広げ、地域の魅力を発信する“日本を旅するクルーズトレイン”として走る姿には、どこか当時の「オリエント・エクスプレス ’88」を思わせるロマンがあります。地域を越え、会社を越え、人々をつなぎながら旅をつくり上げていく“クルーズトレイン”という旅の文化は、時代を超えてその形をかえながら受け継がれています。

ⅳ.~TOKAIDO・FUJI CRUISE TRAIN~

画像:東急(株)提供 ©ドーンデザイン研究所
2024年(令和6年)11月からは、JR東海と東急との連携で「THE ROYAL EXPRESS ~TOKAIDO・FUJI CRUISE TRAIN~」の運行も始まっています。神奈川・静岡・愛知・岐阜の4県などを結び、富士山の景観や東海道の宿場町の街並み、さらには朝焼けの琵琶湖など大動脈東海道の歴史と魅力を発信しています。
運行経路

画像:東急(株)提供


日本を象徴する富士山を望みながら走る姿や、通常の伊豆での運行では見ることのできない静岡鉄道との共演など、東海道本線での運行により、これまでにない印象的な光景が生まれました。
東急様にインタビュー
Q. 車両を単純に他地域へ貸し出す、ということではなく観光振興のノウハウや土地土地の魅力発掘そのものから連携されているというのは驚きました。THE ROYAL EXPRESSが目指す観光列車のあり方とはどのようなものでしょうか?
A. THE ROYAL EXPRESSは、たくさんの方々に支えて頂き走り続けています。お客様、地域の皆様、料理人や食材生産者、工芸職人の方々、車両メーカー、各交通事業者、とりわけ多くの鉄道会社の皆様の力を頂き走っています。伊豆で培った「美しさ、煌めく旅。」を創る経験を、北海道や四国・瀬戸内、東海道でも活かす機会を頂いています。当社(東急)は創業以来「交通と街づくり」を両輪として取り組んで参りました。列車の旅を通じて地域の魅力を多くの方々にお届けするTHE ROYAL EXPRESSは、当社のDNAの現れと言える存在です。伊豆でご乗車頂いたお客様が北海道にも、北海道や四国・瀬戸内などでご乗車頂いたお客様が伊豆にもお越し頂いています。引き続き皆様と手を携え、地域そして日本の魅力を発信する列車であり続けたいと考えています。
片桐 淳也様
東急(株)社会インフラ事業部 兼 東急電鉄(株)
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