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SL冬の湿原号 特設サイト

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SL冬の湿原号

SL冬の湿原号
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歴史

C11形蒸気機関車は、昭和7年(1932)から総計381両が製造され、タンク式蒸機としては最多両数を誇ります。

その中で171号機は昭和15年(1940)に川崎車輛製造で落成しました。新製直後は名古屋鉄道管理局名古屋機関区に配置されたものの、昭和17年(1942)2月に旭川運輸事務所朱鞠内(しゅまりない)機関支区へ転属になってからは、昭和50年(1975)に標茶(しべちゃ)機関区で廃車を迎えるまで北海道内で活躍しました。

 

廃車後は標茶町の桜児童公園に無償貸与で静態保存されることになり、雪などの厳しい環境の元でも元国鉄OBらの有志によって長い間大切に保存・メンテナンスされていました。

171号機に転機が訪れたのは、平成10年(1998)頃のこと。

大正時代末期に道北にあたる留萌(るもい)地方の駅に捨てられ、駅長に育てられたヒロインと炭鉱の町・鉄道の栄枯盛衰を題材としたNHK連続テレビ小説「すずらん」の撮影にあたり、時代背景を忠実に再現するためSL列車の雪中運行が真岡鐵道のC12形66号機を借り受けて留萌本線で行われました。

 

全国的なSL復活の機運と、「すずらん」放送開始の人気を受けて北海道にもSL列車復活蒸機を、という声が高まります。その中で白羽の矢が立ったのが保存状態の良い標茶町のC11形171号機でした。

171号機はJR北海道苗穂工場の手により復活。

平成11年(1999)5月から「SLすずらん号」として留萌本線の深川~留萌間での運行を開始しましたが、標茶町や釧路の「ぜひふるさとで運転を」という声を加勢に、平成12年(2000)から釧路での「SL冬の湿原号(仮)」の運行が発表されました。道東の新たなる観光客誘致や、沿線の観光振興・地域活性など様々な期待を背負って171号機は釧路の地でも活躍を始めます。

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C12形66号機

Tips

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写真提供:李品瑩

2012年、JR北海道 C11 SL列車「冬の湿原号」と台湾鉄路管理局 CK124 SL列車は姉妹列車提携を結びました。震災後の盛んな交流促進事業や相互訪問、中華民国建国100周年を機としたタンチョウ貸与などに合わせて、双方のSL列車が持つ歴史を尊重し、北海道と台湾の人々がお互いの友好と観光に寄与することを目的としています。CK124は昭和11年C12形蒸気機関車として日本国内で製造され、台湾に移転しました。現在も動態保存機として観光列車の牽引を担っており、現地でも大変人気なSLです。

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写真提供:星 匠

苦難を乗り越えながら 

蒸気機関車の運行維持・技術継承はとても大変なものですが、自然豊かな北海道という土地はそれをさらに厳しいものとします。氷点下の凍てつく寒さの中で、機関車のメンテナンスをしなければならないことに加え、雪による凍結や線路への倒木などのトラブルが相次ぎます。

今日の運転が最後になるのではないか、明日はどうなるのかといった緊張感の中、JR北海道社員の方々の「SL冬の湿原号」への情熱と絶え間ない努力によって、1~3月の期間限定で3か月の間のSL運行が今なお続けられています。

客車

令和4年(2022)には、直結されている14系客車の内装のリニューアルを実施。

壁面は木目、座席周りのテーブルやひじ掛けには北海道産の木製品、荷棚に真ちゅう色をあしらうなど、レトロ客車の雰囲気を演出する内装となりました。

※詳細は「列車の魅力」にて

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釧網本線

釧網本線

釧網(せんもう)本線は釧路~網走間を3つの国立・国定公園を貫きながら、道東エリアを南北に縦貫する全長166.2kmの路線です。


かつてこの地域ではアトサヌプリ(跡佐登/アイヌ語で「裸の山」)と呼ばれる硫黄鉱山で採掘される硫黄の輸送を主目的として、明治時代にアトサヌプリと標茶を結ぶ鉄道が敷設されました。

製錬された硫黄は蒸気船で湿原をくだり、釧路港から米国などへ輸出されました。当初は鉱山専用の鉄道でしたが、明治24年(1891)には一般旅客・貨物も扱う釧路鉄道となりました。


のちに全通する釧網本線の標茶~摩周駅の手前までの路線は、これらの旧釧路鉄道跡を利用して建設されています。

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旅路

「SL冬の湿原号」の旅路

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ほどなくして渡る釧路川の鉄橋にも、大勢の地元の子供たちや鉄道ファンが集まり「SL冬の湿原号」に手を振ります。

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東釧路を出た辺りから車掌さんや地元ネイチャーガイドによる、釧路湿原やそこに住まう動植物についてのガイドが始まります。

 

「あの木の上を見てください、オオワシがいますよ」「鹿がいますね。」など、野生動物が見つけやすい冬景色ならではの案内が車内を彩ります。

旅の期待に応えるように釧路駅に「SL冬の湿原号」が入線し、乗客が列車に乗り込みます。

そして出発時刻になると、ホームにいる大勢の人の見送りを受け、大きな汽笛の音とともに釧路駅を出発します。


 

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写真:永井達也

運が良いときには、釧路川を半透明の薄氷が覆う“蓮の葉氷”という現象が見られます。結氷した水面が波などの揺れで割れ、回転しながら周囲とぶつかることで「蓮の葉」のような円形の氷となるのです。
 

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2号車〈カフェカー〉のカウンターでは地ビール・地酒などの飲み物やお菓子、毎年デザインが変わる車両装備品グッズなどの車内販売のほか、まるまる1枚のスルメの販売も。

アルミホイルと一緒に受け取ったスルメは、2・3・4号車〈ストーブカー〉に設置された「だるまストーブ」で炙って食べることができます。

地元や常連の方の中には、オリジナルのレシピや具材を持ち込む方も。「だるまストーブ」は車掌さんが定期的に石炭を補充し、調節してくれます。

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釧路湿原駅を抜けると、いよいよ沿線随一の魅力となる湿原エリアへと入り、最大勾配15‰(パーミル)の区間となり、蒸気機関車の走りが力強くなります。

釧路湿原国立公園内の塘路(とうろ)湖の幻想的な風景を抜けると、茅沼(かやぬま)駅に到着します。

の駅はタンチョウが見られる駅として有名です。

昭和時代まだ駅員が駐在していたころ、当時の駅長が水害により営巣地を失ったタンチョウたちのための餌場を設置したことから始まったそうで、無人駅となった今でも地元の方々などによる餌付けが続けられ、タンチョウたちが飛来します。

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終着の標茶駅に着くと、標茶町の方々やマスコットによる温かなおもてなしと歓迎が待ち受けます。

北海道ではすでにこの地だけになったSLの入換作業も見学できます。

駅には「冬の湿原号」の写真や地元の名産が数多く並び、「今年も来たよ」「また来年ね!」和やかな空気に心が暖まります。

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「SL冬の湿原号」には、蒸気機関車の列車におなじみのターンテーブルによる機関車の方向転換はありません。「SL冬の湿原号」はタンク式機関車であるC11の特徴を生かし、帰路である標茶から釧路を目指す際には、バック運転で客車を牽引します。

その風変りな姿も「SL冬の湿原号」の見どころです。実際にNゲージを走らせる際も、客車と機関車の向きにはこだわって運転を楽しむことが本物らしさにつながります。

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写真:米倉レオナルド瑠伊

人の思いがつなぎ、人と生き物たちの息遣いにあふれたSL列車がこの「SL冬の湿原号」です。

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Photo | Jon Hokama

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列車の魅力

列車の魅力

車窓と食を楽しむ車内設備

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14 系とスハシ44 の5 両の客車

「SL 冬の湿原号」は国鉄時代に設計された14 系500 番台と旧形客車を改造した5 両の客車で編成を組みます。14 系の両先頭車には展望スペースが、旧形客車にはカフェスペースがあり、乗ること自体がとても楽しい列車としてデザインされています。14 系と旧形客車の混成は珍しく、異色の客車列車でもあります。

写真:米倉レオナルド瑠伊

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スハシ44のカフェスペース

スハシ44 には売店が備えられ、沿線の名産品や地ビール、サイダー、コーヒー、おつまみ、オリジナルグッズなどが販売されています。

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だるまストーブ

客車内にはだるまストーブが設けられ、売店で購入したするめやサケとば、持ち込んだソーセージなどをあぶることができます。

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湿原を眺めるベンチシート

スハフ14形は室内も原形から大きく改造され、釧路湿原の雄大な風景を眺めるベンチシートが設置されています。

展望デッキ

両緩急車の車掌室寄りには、釧路湿原などの景色をパノラミックに眺める大きな窓が設置されたデッキがあります。

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車窓に広がる釧路湿原と天然動物

車窓に広がる釧路湿原と天然動物

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地球を感じる列車旅

時速60 ㎞程度で走行する冬の湿原号は、雄大な自然の中を走ります。タンチョウなどの野生動物、ラムサール条約に登録された湿地帯など、北海道の広大な自然に大地の息吹を感じるでしょう。

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